充実した読書環境継続のために
「職員採用中期計画(素案)」の見直しについての要望書(appeal-2011okayama-chuki_keikaku.pdf)(PDFファイル113KB)
2011 年2 月18 日
教育長 山ワキ 健 様 ※ワキは月へんに力を4つ学校図書館問題研究会
代表 飯田 寿美 印
充実した読書環境継続のために「職員採用中期計画(素案)」の
見直しについての要望書
日頃から子どもの文化・読書環境の充実にご努力いただいていることに敬意を表します。私たち学校図書館問題研究会は、全国の学校図書館に関わる教職員、図書館関係者、学校図書館に関心を持つ市民、研究者などで作る、個人加盟の研究団体です。1985 年に結成以来、学校図書館を通して、子どもたちの教育環境の充実をめざし、日々研鑽を続けています。さて、昨年11 月25 日、岡山市議会総務委員会は、「職員採用中期計画(素案)」で、平成23 年からの5 年間で140 人の職員削減案を示されました。その中で、教育委員会にかかわる司書等を「退職不補充」にするという方針が出たことに、私たちは大変驚いております。岡山市は全国に先駆けて専任で専門の学校司書を全校に配置されてきました。その学校教育に果たしてきた成果は岡山市のみならず、全国各地に大きな影響を及ぼしています。1991 年に作られたビデオ「本があって、人がいて」(岡山市学校図書館ビデオ製作委員会編)の、岡山の学校図書館に駆け込んでくる子どもたちの生き生きとした表情は、全国の多くの人々の心をとらえました。また、2001 年出版の『学校図書館はどうつくられ発展してきたか―岡山を中心に』(教育史料出版会)には、はるか昔に子どもたちの幸せは教育からと考えた先達がおられ、その気持ちを懸命に引き継ごうと努力してきた岡山の教職員や学校司書たちの姿があります。2007 年にはテレビ「あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑」に岡山の学校司書が登場しました。その番組は何度も再放送され、現在でもDVD で見ることができます。こうした岡山の学校司書の取り組みが、どれほど全国の市民や教職員、そして学校図書館職員を勇気づけてきたことでしょう。岡山市に倣い司書を配置する自治体も徐々に増えてきています。学校図書館は、岡山を抜きには語れません。学校図書館問題研究会では、学校図書館に「専任・専門・正規」の司書の配置をめざしてきました。学校の中で、子どもたちと教職員に資料を提供し、教員と共に授業を創り、子どもたちの豊かな教育環境を支えていく継続した仕事をしていくには、どうしてもその条件が必要だと考えるからです。しかし、現在、岡山市の学校司書の6 割は嘱託職員です。それでも勤務条件の差が図書館サービスの格差につながってはならないと日々研修・実践を積む学校司書たちの姿に、できるだけ早く正規職員への道が開かれることを願ってきました。まして、「退職不補充」はあってはならないことです。「退職不補充」を「多様な雇用形態」の人で代替するならば、岡山市の学校図書館の働きは損なわれ、学校間の教育格差は明らかとなります。財政支出の見直しは必要なことでしょうが、それが子どもたちの教育環境を切り下げることになるのなら本末転倒と言えるでしょう。これまで子どもたちの豊かな学びと成長を支えてきた岡山市の学校図書館の、さらなる充実に向けてぜひともご尽力いただけるようお願い申し上げます。以上のことから、学校図書館問題研究会では以下の2 点について要望を致します。1、「職員採用中期計画(素案)」を見直し、司書職の退職の補充を非正規職員やボランティアでなく正規職員として採用すること
2、現在の1 校1 名の司書配置を継承し、岡山市立の小・中・高等学校全校に正規の学校司書を配置すること
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