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2017/03/31

例会報告2017年3月-児童生徒の読書を考える

Tweet ThisSend to Facebook | by 千葉支部
日時;2017年3月5日(日)10:00~14:30
会場;公津の杜コミュニティセンターもりんぴあこうづ
参加者;31名
 小学校高学年になると図書の時間が少なくなり、比較的読んでいた児童が読書離れしてしまうことがあります。
 今回は、日常的に読書を楽しむ中高生となるために重要になってくる高学年での図書の時間の使い方や読書の工夫について、また、図書の時間がない中学校、高校ではどんな読書の工夫がされているかについて討議しました。
 午前中は、会員のお二人に実践報告していただき、午後は参加者が書いてきたレポートを持ち寄りそれぞれの事例をグループ討議形式で発表しあいました。

実践報告1.小学校(荒川区立尾久宮前小学校 中山理恵氏)
低中学年と高学年の違いは、以下4点が考えられる。
教科で教えることの質が高度になり量も増えるため、図書の時間の確保が難しくなる。
・ゲームやネット等に興味が広がり本に魅力を感じる気持ちが後退しがちになる。
・高学年までに読み応えのある本を読めるような読書の力をつけられないと、心の成長に読んでいる本のレベルが追いつかず、読書自体がつまらなくなり興味を失ってしまう。
・身近な大人の言葉より友達や遠くの人に親近感を感じる。

一番のポイントは「本を読む力が育っているか?」
そのための方策として、学校独自の学年に適した推薦図書リストを作成し、図書の時間に、その中から1冊は読み借りることを勧めている。何を読むか迷っている児童の指標にもなっている。
図書の時間が取れれば、国語と関連して、5年生では俳句の本のブックトークを行ったり、6年生では情報リテラシーの参考図書を紹介したりしている。

担任の先生と協働して、アニマシオンやビブリオバトルも行い、子供たちがいろいろな本に親しめるような工夫をしている。
具体的にたくさんの授業事例を紹介してくださった。


実践報告2.中学校(お茶の水女子大学附属中学校 奥山文子氏)
小学校と中学校の違いは
・図書の時間(週1回の図書館使用割り当て時間)はない。
・司書がクラス全員に直接本を紹介する機会がほとんどない。
・読書好きな(楽しんでいる)生徒と全く興味を持たない生徒に二極化している。
・教員は放課後も部活動指導等あり多忙である。
・一人の教員が図書館を使った授業をすれば、中規模校なら1学年全員の生徒が図書館を利用することになる。
故に、対極する2方向への読書の働きかけが必要となる。
中学校の実情を踏まえ、やれそうなことから働きかけを試みる。
・授業で使用してもらえるよう教員への働きかけ
・朝読書があれば朝読書で読み聞かせや本の紹介ができるように働きかけ。
・まず、図書委員と司書でできることを考える。
来館した生徒へ個別に本を紹介することから、周囲を巻き込んで大勢が関われる取組へ広げていくと、より読書も広がっていく。
具体的事例として、現任校と以前勤務した公立中学校での取り組みを紹介。
<司書一人でもできること>
 読書感想文に向く本他戦後70年等のブックリスト作成、オリエンテーションでのブックトーク、朝読書の時間に読み聞かせやミニブックトーク、それぞれの部活動ライブラリーナビ、ブックカフェ(読書会)の実施・・・

<協力者がいればできること>
 ボランティアさん等と分担して朝読書で本の紹介、夏休み前に国語の授業で本の紹介、授業でブックトーク、読書ダイアリー、ブックメニュー(給食)、図書委員とバイオリンコンサート、朗読会、図書委員が作るお楽しみ袋・・・
<学校の協力が得られればできること>
・読書講演会
・先生のイチオシ本
・リードポスター・・・
たくさんの資料を示しながら発表していただいた。



 午後は、小学校4グループ、中学高校1グループに分かれて、事前に宿題となっていた事例ワークシートと資料を使い、討議した。

絵文字:星ほとんどの小学校では、中学年まで図書館使用割り当て時間(いわゆる「図書の時間」)を活用し、高学年になると活用が減ってしまうようでした。中学年までは機械的に週1回本を借りていても、図書の時間がなくなると足が遠のくということは、真の意味での本好きは、多く育てられていないのかもしれません。そこをどうすればいいのか。読書指導の範疇ですので、先生方との協働が不可欠です。お二人は、問題点とその方策をわかりやすく具体的に発表してくださいました。日頃から勉強会に参加したり、研究誌や本を読んだりして、努力を積み重ねているからこそ先生方への提案、協働もうまくいき、これらの取り組みがなされているのでしょう。

20:40 | 例会報告

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