横山寿美代さん (東京都杉並区立久我山小学校 学校司書)
私は非常勤の公立小学校の学校司書です。そのスタンスから、今まで積み重ねた実践の良い点だけでなく、その反省点を率直にお話したいと思います。また、勤務校や所属自治体の枠を超えた活動についても報告します。厳しい勤務条件の中で、それでも真摯に学校図書館に向き合っている仲間たちにエールを送るような気持ちで、話をさせていただきます。私たちにできることはいっぱいあります!
大変光栄なことに、埼玉大会にて実践報告をさせていただけることになりました。
この稿は「大会の魅力」号にのるのですから、読者に魅力を感じさせてどんどん大会に参加しようという気持ちをおこさせることが目的でしょう。しかし私は正直申し上げて、本当に報告するに値するような実践があるのかと言われれば、いやあ、まだそんな……と答えたくなります。はなはだ戦力にならないコメントで申し訳ありません。ではなぜ身の程知らずにもこんな大役を受けてしまったのか。それは、大会運営の埼玉支部の方が全国委員会でこの大会の趣旨を説明なさる時、“非常勤の人も参加したくなるようなものにしたい”とおっしゃったからです。
常々私が感じていることは、この学校図書館の世界にはものすごい人たちがいっぱいいる、ということです。そしてそのような感動的な仕事ぶりをしている方たちの多くが公立小中学校非常勤職です。もちろん正規職の高校司書や私立校の方たちの中にも、素晴らしい学校司書があまた存在します。学校図書館と学校司書の可能性と力を信じて道を切り開き、それこそ私には足元にも及ばないような実践を重ねている人たちばかりです。しかし、こういう実践を重ねようにも、たくさんの障壁を抱えて悩み、それでも一歩一歩良い方に行こうとしている公立小中学校校非常勤の人たちがたくさんいることを私は知っています。そして、私自身も公立小学校の非常勤の学校司書です。ですから、お話をいただいた時まず思ったことは、“公立小学校の非常勤の立場から話をしよう。そして同輩たちにエールを送ろう”ということでした。
さて、では何をお話したらよいのでしょうか。決して刮目すべきユニークなものではありませんが、私なりに積み重ねてきたものがありますから、それをみなさんにご披露することはもちろん可能です。しかし、“これもやった、あれもやった、すごいでしょう!”というような報告をしたくはないです。そこで今回は“失敗”をできるだけ多く話そうと考えました。つまり“失敗実践報告”ですね。そして、もう一つ、私がいつもとても大事だと思っていることをお伝えしたいです。それは、自分の働く学校図書館や自治体の外に目を向けることの重要さです。この点では、少々私は
みなさんに語るべきものを持っております。学校図書館プロジェクトSLiiiC(スリック)という活動について、そしてそれを通して得たものを中心にお話しようと思います。勤務校ではどたばた失敗を重ね、それをわきに置いといてどんどん外に出ていっては、ばたばた何かをやっている、そんな阿呆な学校司書もいるのだ、じゃあ自分ももっと何かやってみよう……と感じていただけたらうれしいです。
新人は不安と戸惑いに苦しみ、中堅は壁にぶつかり、ベテランは諦念と息切れに襲
われます。それはどんな仕事も同じでしょう。しかし、この不安定な立場と勤務条件におかれている非常勤学校司書ほど、そのつらさを感じている者はいない、と言ったら言い過ぎでしょうか。そんなみなさんが、何よりも元気になれるような話をしたいと心から思います。
報告者 横山寿美代さん (東京都杉並区立久我山小学校 学校司書)
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