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2012/08/31

例会報告2012年8月-ブックトークをやってみよう

Tweet ThisSend to Facebook | by 千葉支部
日時;2012年8月17日(金)10:00~14:50
会場;千葉市ビジネス支援センター
参加者;48名
 支部会員でもある袖ケ浦市立昭和中学校司書和田幸子氏にブックトークの講演をしていただきました。
 参加予定者には『戦争』をテーマにブックトークを考えて(または実践して)ワークシートに記入してきていただきました。
 計画としては、午前中に和田氏のブックトーク実演、午後は会員3名がブックトークを発表、残り時間グループ討議と考えていました。
 しかし、和田氏に4本も実演してほしいと欲張りなお願いをしていたため、予定を変更し、午前中3本午後1本(テーマ『戦争』)のブックトーク実演、その流れで、会員3名の発表、グループ討議はカットし、各自が考えてきたブックトークプランを時間の許す範囲で発表していただきました。
 その他、研究大会や集会の参加報告を3本行いました。



【講師 和田幸子氏】
 千葉県袖ケ浦市立昭和中学校司書(2012年現在)。前任校の袖ケ浦市立平川中学校では、2006年度に子ども読書推進賞(奨励賞)受賞・文部科学大臣表彰、2008年度第38回学校図書館賞受賞。
*著書
学校司書と先生のためのすぐできるブックトーク(ミネルヴァ書房/2012)
渡辺暢惠氏他多数の学校司書と共著。

◇午前の部:講演
●ブックトークその1「あなたにだけ教えます!ベストフレンドの見つけ方」
 まだ入学間もない1年生のオリエンテーションで行うブックトーク。以前は、1時間のオリエンテーションの中にブックトークも組み込んでいたが、時間が足りないので、今は、2時間もらっている。1時間目のオリエンテーションでは、分類等基本的なことを学習し、2時間目にブックトークを行い、貸出もする。
<ブックリスト>
①人気者になる方法(メグ・キャボット著/理論社)
②妖怪アパートの幽雅な日常(香月日輪著/講談社)
③たまごを持つように(まはら三桃著/新潮社)
④リバウンド(E・ウォルターズ著/福音館書店)
⑤あなたのたいせつなものはなんですか?カンボジア(山本敏晴著/小学館)
⑥ツバル(〃)
⑦ルーマニア(〃)
⑧ケニア(〃)

⑨10代のうちに考えておくこと(香山リカ著/岩波ジュニア新書)

ブックトークって何?ブックトークを知りブックトークを作ってみよう
<ブックトークとは何だろう?>

 「何か面白い本ない?」という問いに対して行われる形式ばらないものと、ある程度の集団に対して行うきちんとしたブックトークがある。
<学校図書館でブックトークをする利点>
・生徒の興味や関心からアプローチすることができる
・教科や学習内容に関連させたブックトークができる
・すぐに貸し出しすることができる
・関連した展示や掲示も有効;ブックトークを聞いていない生徒や先生にも意識付けになる
・生徒の悩みや起こっている問題に対応して、テーマを設定できる
・手に取られにくい本を紹介することで、視野を広げる
<ブックトークをする時と場所>
・学校図書館オリエンテーションで・・・司書教諭、司書が学校図書館で
・教科、学級活動、総合的な学習などの授業の中で・・・司書、先生が教室、学校図書館で
・朝の読書タイムに・・・司書、先生が教室で
・集会で・・・図書委員が体育館で
・授業で・・・生徒がブックトークを作成して実演
<ブックトークのコツと心がけていること>
・幅広い選書・・・自分が読んで好きな本・ちょっと苦手な分野も・ネットワークを活用;袖ケ浦市の場合、学校司書間でのネットワーク
・本以外のものを使う・・・実物や写真、イラスト、音楽、詩の朗読、ストーリーテリング
・生徒に参加させる・・・クイズを出す、絵を描かせる、朗読をしてもらう
・座席と座り方・・・イスごと正面を向かせる 半円形にイスのみセッティング
・シナリオを作る・・・導入、つなぎ、まとめを考えて組み立てる

・シナリオをストック・・・やってみて、台本を手直ししてシナリオを完成させストックする
・付せんとブックイーゼル・・・見せる部分、朗読する部分に付せん 表紙を見せて立てる
・ブックトークの後は・・・掲示、展示で他学年にもアピール
・ブックリストの配布・・・後からでも借りに来られるように

*授業で生徒がブックトークを作成する際のワークシートを使い、説明をしていただいた。
生徒がブックトークを作る場合、テーマを決めてから本を選ぶより、好きな本1冊を中心にブックトークを組み立てた方がやりやすいことが多い。

●ブックトークその2「こんな変身いかがですか?」
 生徒が作る自分のお気に入り1冊の本からのブックトークの例。『13ヵ月と13週と13日と満月の夜』を紹介したかった。和田氏自身が好きな本であり、以前はよく借りられていたが、近頃動かなくなったので、また読んでほしいと思った。
<ブックリスト>
①13ヵ月と13週と13日と満月の夜(アレックス・シアラー著/金原瑞人訳/講談社)
②白狐魔記 源平の風(斉藤洋著/偕成社)
③栗林さんの虫めがね2変身(栗林慧著/フレーベル館)

●ブックトークその3「届けたい 伝えたい 大切な思いを手紙に託して・・・」
 これは、テーマを決めてから作ったブックトークの例。
<ブックリスト>
①王への手紙上・下(トンケ・ドラフト作/西村由美訳/岩波少年文庫)
②ポプラの秋(湯本香樹実著/新潮社)
③未来への手紙(「未来の自分に、手紙を書こう。」プロジェクト編/講談社)
※③は、昭和中学校の生徒の作品も3万通の手紙の中から選ばれたことを紹介。

 午前の部の終わりに、参加されていた渡辺暢惠氏から、今回のブックトークの本の出版についてお話を伺った。

◇午後の部:講演
●ブックトークその4「太平洋戦争を知ろう!-袖ケ浦市立郷土資料館の資料から、図書館の本から、戦争を知ろう」

 国語『夏の葬列』の後に行うブックトーク。
 袖ケ浦市立郷土博物館から借りた太平洋戦争当時の展示資料を使い(上記写真)、実際に生徒にさわらせ、実感させる。
・召集令状(赤紙)・千人針・鉄かぶと・当時の写真等・・・・



<ブックリスト>
①うしろの正面だあれ(海老名香葉子著/フォア文庫/金の星社)
②少年H(妹尾河童著/講談社)
※『少年H』では疎開が出てきたが、ちょっと変わった疎開があり、この袖ケ浦市には大学生たちが疎開しにきた。
『袖ケ浦市史研究 第4号』(袖ケ浦市教育委員会)も紹介。
③ウミガメと少年 戦争童話集沖縄篇(野坂昭如著 男鹿和雄絵 徳間書店)
④あの日、広島と長崎で 写真物語(平和博物館を創る会編 平和のアトリエ)
⑤目で見る戦争とくらし百科3(早乙女勝元監修/日本図書センター)
敵性文化の追放(カタカナ語の廃止)の例として、『牡蠣洋天』『噴出水』等の言葉は何のことか、クイズを出す。
『少年H』は出版当初大ベストセラーとなり、小説に登場するエピソードの真偽が問われる論争が起きた。それは新聞記事にもなったので、その論争の載った新聞記事を掲示する。

 この後、簡単に質疑応答し、会員のブックトーク交流を行った。小学校4年国語(教育出版)にも、3冊ブックトークを作って読書発表会を行う単元が入ったので、活発な意見交換があった。

◇大会参加報告
 第38回全国学校図書館研究大会米子大会(全国学校図書館協議会主催)で、永井博子氏が「司書教諭と学校司書との協働」という分科会で発表されたので、その報告があった。
 また、別の会員から、学校図書館問題研究会第28回全国大会及び学校司書法制化に向けた緊急集会(学校図書館を考える全国連絡会)に参加した報告をそれぞれ行った。


 和田さんの聞き手を引き込むブックトークは素晴らしかった。これなら中学生もよく聞いてくれそうである。生徒が使うために考案したワークシートもとても使いやすく、小学校でも良さそうであった。和田さんの許可をいただき、4年生の国語で使ってみようと思った会員が多くいた。

16:13 | 例会報告

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