日時;2010年12月26日(日)10:00~14:30
会場;千葉市生涯学習センター
参加者;40名
夏の例会後、支部メーリングリスト上で
「学校図書館の究極は、どう授業に反映していけるか?だと思う。夏の例会を受けて、調べ学習の最前線について勉強したい。その点で、今注目されている探究型学習について書かれた『思考力の鍛え方』の著者である桑田てるみさんをお招きできないだろうか」という意見が出されました。
桑田さんには2006年12月の例会『パスファインダー・ワークショップ』でご指導いただき、大変好評でした。今回もお忙しい中お越しいただきました。
午前中は、ご著書『思考力の鍛え方-学校図書館とつくる新しい「ことば」の授業』を元に講演していただきました。
午後は、『6ステップで学ぶ中学生・高校生のための探究学習スキルワーク』(桑田てるみ・野村愛子・眞田章子共著/チヨダクレス株式会社発行/2010.3.※市販はしていません)を使ってワークショップ。探究学習の実際を学びました。
【講師 桑田てるみ氏】
国士舘大学21世紀アジア学部21世紀アジア学科准教授(2010年当時)
研究分野;学校図書館【近著】
思考力の鍛え方-学校図書館とつくる新しい「ことば」の授業(静岡学術出版教養ブックス)(静岡学術出版/2010)
◇講演●これからの学校図書館は、今までの「読書センター」と「学習情報センター」という機能だけでは足りない
●PISA型読解力が求められ、新学習指導要領教育課程が施行されれば、当然学校図書館の役割にも変化が求められるはずであり、学校図書館職員も、今までの支援だけでは足りなくなるはずである。
●探究型学習と調べ学習の違いは・・
●図書館利用指導の変化
・情報リテラシー;様々なメディアの活用法・情報を活用する総合的な力
・問題解決のプロセスとスキル;Big6 Skills
→①テーマ設定②情報収集③整理分析④まとめ表現 ※この4つを6段階に。
→Big6 Skillsとは
①テーマ設定(課題を明確に)
②情報探索の手順・計画を考える
③情報・資料の所在を確認し収集する
④情報・資料を利用する(読む、聞く、話す)
⑤情報・資料をまとめ・伝達する
⑥学習活動の評価
*EisenbergとBerkowitsにより提案(1990)
それぞれの段階で、思考することが必要となる。
⇒探究型学習のプロセスであるこのスキルをもとに『6ステップで学ぶ中学生・高校生のための探究学習スキルワーク』を開発した。
●思考力の育成(特に探究に必要な思考の方法)
丸写しして最後に自分の意見を言う学習が一般的だった日本の教育。
日本の学校図書館も含め、整理・分析が弱かった。
「探究型学習への支援」探究のプロセスとスキルを指導
●オーストラリアの学校図書館視察
・探究型学習に必要なプロセスとスキルを指導する図書館
・たくさんのブックリストやパスファンダー
・本の背表紙に、ユーモア・ミステリー・ホラー・家族・笑える等のシールを貼っている。本によっては『笑える・家族』等2種類貼って、生徒を読書に誘う。
・排架や書架の配置の工夫
●探究の基礎となる読みたい・知りたい気持ち(知的好奇心)への徹底的な支援
●学校図書館にはまだまだできることがある!
そのために意識したいこと
①教育界・教員の動きを把握すること
②教員に必要とされる司書になること
⇒生徒への直接サービスだけではなく、新しい教育に戸惑う教員への直接サービスを増やそう。
⇒展示・掲示も意識して『学習』にシフトしよう。
この後、質疑応答、午後はワークショップを行いました。
今回の例会は、新潟からの参加もあり、また、例会後にはメーリングリストでも感想が行き交いました。小学校図書館にもヒントになるたくさんのアイディアをいただきました。小学校でも探究学習の基礎を築くため、先生方と協働しこうと思いました。