2012年10月10日、衆議院議員会館にて、「学校司書の法制化を考える全国の集い――学校図書館の活性化を目指して――」が開かれました。この会は、子供の未来を考える議員連盟、学校図書館活性化協議会、公益財団文化法人 文字・活字文化推進機構が主催、学校図書館整備推進会議、日本児童図書出版協会、読売新聞社が共催したものです。
この会の意見交換の場の中で、学校図書館に関わりを持つ会に発言の機会があり、本会代表が学校司書に求められる要件について発言しました。
文字・活字文化推進機構
「学校司書の法制化を考える全国の集い」
本会代表の発言
学校図書館問題研究会は、学校司書、教員、市民、公共図書館司書、研究者など、学校図書館に関心のあるさまざまな会員で構成する研究団体です。私たちは、学校図書館には専任で専門で正規の学校司書が必要であることを、実践を通して明らかにしてきました。
近年、保護者や教職員・住民による強い願いと自治体の努力により、少しずつですが学校司書が配置され、充実した学校図書館サービスが行われるところが増えてきています。そこでは、毎日、朝から楽しそうに本を手に取る子どもの姿や、くつろぐ姿が見られるだけでなく、先生たちが新しい教材や教育方法のヒントを求めて足を運ぶ姿も見られます。それは、そこに、子どもたち一人ひとりの読みたい知りたい気持ちに応え、先生たち一人ひとりの相談に応じる学校司書がいるからです。
学校司書は本の専門家です。そのプロとしての力を総動員し、学校や図書館のネットワークを駆使して、学校司書は子どもたちと司書教諭も含めた先生たちに学校図書館サービスを行います。本の専門家である学校司書は、教育の専門家である先生たちと一緒に、子どもたちを支え、学校教育を作っていきます。学校司書はそういう仕事なのです。
従って、私たちは、学校司書配置には次の3つのことを求めます。1つ目は、学校司書は最低限、現在の公共図書館司書と同じ司書資格を必要とすることです。図書館が民主主義社会を支える大切なインフラであることはご承知の通りです。同じ意味で、学校図書館は学校の中で学校教育を支えるインフラです。学校図書館というインフラがあってこそ、今求められている探究学習も読書教育も言語活動の充実も、効果のある活動になっていきます。そのためには、図書館とは何かをきちんと学んだ人が必要です。司書資格を学校司書の最低限の基礎資格として求めます。
2つ目は、学校司書が継続してこの仕事にあたることができることです。その学校にふさわしい学校図書館を整備して、子どもたちの興味関心を育て、教育活動に使える蔵書を計画的に作り上げ、またそれを新しくしていくこと、経験を積み上げて次に活かしていくこと、きのうより今日、今日より明日と成長していく子どもたち一人ひとりに寄り添うこと、これらは期限を切られてできるものではありません。しかし、現在増えている非正規雇用では、残念ながらこれが望めないのです。学校司書が見通しを持って、継続して仕事ができる配置を求めます。
3つ目は、学校司書が学校教育にきちんとかかわれることです。学校図書館法には学校図書館は教育課程の展開に寄与するとあります。この法律の趣旨を活かすためには、学校司書は、学校の教育方針を知り、教職員と話し合いながら、学校図書館の活動を進めていく必要があります。学校教育に直接かかわることのできる学校司書配置を求めます。
鍵を開けただけでは学校図書館はできません。本の数を揃えただけでも学校図書館にはなりません。子どもたちのわかった!というときのあの目の輝きと、先生たちの教育にかける情熱をしっかりと支えられる学校図書館になることのできる学校司書配置を願っています。
なお、11月23日には、「いま、学校図書館を考える」と題して、なぜ、学校司書が必要なのかを明らかにする集会を計画しています。ぜひご参加ください。ありがとうございました。
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