2020年9月26日付で、「著作権法第31条における「図書館等」に学校図書館を加えることについて(要望)」を関係の方々に提出しました。
要望を出したことについては複数の理由があります。
なにより、授
業には該当しない児童生徒の興味関心にもとづく利用や、知る自由を保障するために、複写の要求に応えたいと考えました。
「文化庁 文化審議会著作権分科会 法制度小委員会 図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム」の会議において学校図書館を「図書館等」に位置づけていただけるよう、今後も活動を進めていきます。
2020年9月26日
関係各位
学校図書館問題研究会
代表 狩野 ゆき
著作権法第31条における「図書館等」に学校図書館を加えることについて(要望)
日頃より学校図書館の発展のためにご尽力を賜り感謝申し上げます。
学校図書館では、授業や、学校行事などの特別活動、クラブ活動での利用だけでなく、児童生徒自身の興味関心にもとづく利用や、教職員の授業に該当しない教育活動や研究による利用があります。学校図書館法にあるとおり、学校図書館の役割は「学校の教育課程の展開に寄与するとともに、児童又は生徒の健全な教養を育成する」ために、他の図書館等と協力し、資料や情報を提供することです。
授業など、学校の教育計画に沿った活動における複写の要求に対しては、著作権法第35条にもとづいて対応することができます。けれども、授業に該当しない利用の場面では、学校図書館が著作権法第31条の「図書館等」に含まれていないため、複写の要求に応えることができません。
また、「文化審議会著作権分科会法制度小委員会 図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム」で議論されているデジタル・ネットワーク対応についても、新型コロナウイルスによる休校や学校で導入が進む教育のICT化に伴って、学校図書館でも対応できるようになることの必要性を強く感じています。
以上のことから、下記のとおり要望いたします。
記
学校図書館においても著作権法第31条にもとづく複製ができるように、「図書館等」に学校図書館を追加してください。
(理由)
・授業には該当しない、児童生徒自身の興味関心による読書や調査も、子どもたちの成長と発達に必要不可欠な活動である。学校図書館がその活動を支援し、児童生徒の知る自由を保障するために、複製物の提供は欠かせないサービスの一つである。
・学校図書館は、児童生徒にとって一日の大半を過ごす学校にある身近な図書館である。公共図書館が近くになく行くことができない児童生徒もおり、学校図書館が第31条にもとづく複製ができる意義は大きい。
・教職員は、授業に該当しない児童生徒の活動を指導することも少なくない。また、教育活動を豊かなものにするためには、さまざまな研究が必要である。教職員のこうした活動に対しても、学校図書館が複製物を提供することができる。
・法改正により送信サービスが可能となれば、休校中あるいはオンラインで、授業に該当しない活動をする児童生徒に対して、必要とされる資料の複製物を提供することができる。
・学校図書館も絶版等で入手困難な資料や貴重な資料を所蔵しており、それらを保存したり、他の図書館等へ提供したりするために複製することができる。
・学校図書館においても、国立国会図書館により自動公衆送信されたデジタル資料を印刷して提供することができるようになり、児童生徒の学びや教職員の研究を深めることに資することができる。
・児童生徒や教職員にとって、学校図書館で法律に沿い著作権に配慮した複写サービスが受けられることは、著作権に対する意識の向上や、生涯学習における著作物の倫理的な活用につながる。
以上
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