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学校図書館問題研究会(がくとけん)は、学校図書館に関わる職員や学校図書館に関心のあるみなさんのための研究団体です。

 

貸出五条件 (1988)

 
 
貸出五条件 本文

学校図書館の貸出をのばすために
のぞましい貸出方式が備えるべき五つの条件

(貸出五条件)

1.貸出中は、何を、いつまで、だれが借りているかがわかる。

2.借りるとき、利用者が何も書かなくてもすむ。

3.貸出・返却の事務処理が容易である。

4.予約に対処できる。

5.返却後、個人の記録が残らない。

 
貸出五条件 逐条解説

貸出五条件 逐条解説

<1.について>

図書館では、蔵書について常にその全てが把握・管理できる状態でなければならない。それは利用者管理ではなく、次の利用に備えるための資料管理である。

従って、図書館としては貸出中には、何を(資料の特定)、いつまで(返却期限の特定)、誰が(利用者の特定)借りているかということを明確にすることが必要である。これによって、①他の利用者からの照会に対する回答(貸出中か否か? 返却予定はいつか?)②延滞時の督促 ③事故の際の処理等を迅速に行うことができる。

このように、“何を、いつまで、だれが”は貸出の成立条件であり、どのような貸出方式を採用するにせよ、この三要素を無視しては貸出そのものが成立しない。

しかし、だれが何を借りているかは、プライバシーに関することであり、第三者に知られてはならない。

<2.について>

従来、学校図書館で多く採用されてきた貸出方式では、利用者が氏名・資料名・日付等をブックカードや個人カードに記入することが求められてきた。これらの方法は、利用者の側から考えると、貸出手続きに時間をとり煩雑である上、記入事項が記録として残るという欠点を持っている。特に、小学校低学年の子どもには過度の要求ですらある。また、記入することによる心理的負担もある。従って、貸出を伸ばすためにも利用者の負担が少ない方法が良く、何も書かないですむ方法が望ましい。

<3.について>

貸出・返却の事務処理が簡単、便利であれば、迅速に処理でき利用者の待ち時間は短縮される。その上、図書館業務の上からもトラブルやミスが少なくてすみ、より簡単な方法がよい。

特に、授業間の休み時間での貸出など短時間で多数の事務処理が求められる場合や、貸出数が多くなってきた場合のことを考えると、この要件は欠かせない。


<4.について>

利用者の“読む自由、知る自由”のより積極的な保障の方法として、予約は貸出方式の中にも位置づけられなくてはならない。ここで特に、リザーブ(=返却まち)について貸出方式の中で対応できなければならない。

貸出中の資料について予約がついた場合、貸出記録に何らかの方法でマークし、その資料が返却されたら、直ちに予約者に連絡し、迅速な資料提供(=貸出)をすることが求められる。

これによって、利用者の必要とする資料が確実に手許にとどくことで利用者の信頼を得、資料の効率的な回転をはかることが可能になり、より多くの利用を促すことができる。

<5.について>

学校図書館を利用する児童、生徒にも“読書の自由”は保障されるべきである。なぜなら“読む自由、知る自由”は極めて個人のプライバシーに属する事柄だからである。

利用後の個人記録が残る貸出方式は、“誰が何を借りたか、読んだか”が第三者に知られるおそれがあり、好ましくない。個人記録が残ることで、利用者に無用な不安や危惧をいだかせたり、利用(読書)意欲をなくさせることがあってはならない。

従って、学校図書館の貸出方式も、返却後は個人の記録が残らないことが望ましい。

<最後に>

学校図書館は、教育の名のもとに児童、生徒に不必要な労力を強いたり、要求を退けたり、プライバシーを侵害するなどの危険をはらんでいる。学校図書館も利用者の立場にたち、利用者を一個の人格と認めた対応をすべきである。貸出方式を考える際にもこの精神が生かされなければならない。

(1990年8月 第6回大会福岡大会にて採択)