2005年6月17日
活字文化議員連盟
事務局長 肥田 美代子 様
学校図書館問題研究会
代表 飯田 寿美
「文字・活字文化振興法案」についての意見書
貴職におかれましては日頃より学校図書館充実の取り組みにご尽力いただいておりますこと、先ずもってお礼申し上げます。
私たち学校図書館問題研究会は、学校図書館にかかわる個人で構成している全国規模の研究会です。1985年の結成以来、児童生徒の学ぶよろこびや読む楽しさを支援する学校図書館づくりを目指し、相互に実践・研究を積み重ねてまいりました。
児童生徒の読書環境の充実については私たちも願いを同じくするものであり、「文字・活字文化振興法案」についても大変注目しております。
この度「文字・活字文化振興法案」、特に学校図書館に関することにつきまして、下記のとおり私たちの意見をまとめましたのでお送りいたします。
貴職におかれましては、どうか私たち学校図書館にかかわる者の意見を真摯に受け止めていただき、法案審議や施策に反映していただきますようお願い申し上げます。
記
① 児童生徒の読書の自由について文言を盛り込んでいただきたい
第3条(基本理念)の3項並びに第8条(学校教育における言語力の涵養)に、学校教育について言語力の涵養をはかることが述べられています。私たちは、その際の施策や指導が児童生徒の読書の自由に根ざしたものであることが必要であると考えます。「子どもの読書活動の推進に関する法律に対する附帯決議」においても、読書活動推進について、行政の不当な干渉を拝し、子どもの自主性を尊重する趣旨が明記されています。「文字・活字文化振興法案」においても、児童生徒の読書の自由について文言を盛り込むべきであると考えます。
② 学校司書の配置について文言を明記すべきである
第8条(学校教育における言語力の涵養)2項に、司書教諭及び学校図書館に関する業務を担当するその他の職員の充実等の人的体制の整備について必要な施策を講ずることが述べられています。
この法案が真に人的体制の整備につながることを期待します。
しかし、「学校図書館に関する業務を担当するその他の職員」がどのような職員を指し示しているのか、この条文では甚だ不明確です。解釈によっては、学校図書館担当の教諭や学校図書館ボランティアなど、学校図書館専任ではない、また非正規の職員をもって「その他の職員」とすることも可能ではないでしょうか。
私たちは、学校図書館の充実のためには専任・専門・正規の学校図書館職員、所謂「学校司書」の配置が必須であると考えます。現在各地の地方自治体において、雇用形態は様々ではありますが「学校司書」の配置がすすめられ、豊かな学校図書館づくりに大きな成果をあげています。2002年に閣議決定された「子どもの読書活動推進に関する基本的な計画」の中でも、このような地方自治体の取り組みを評価し、職員の配置を「促していく」と述べられています。
学校図書館充実につ ながる人的体制の整備として、専任・専門・正規の学校図書館職員の配置、「学校司書」の配置を明記すべきだと考えます。
③学校図書館充実のための物的条件整備について、具体的かつ実効的な施策を実施し
ていただきたい
第8条(学校教育における言語力の涵養)2項には、学校図書館の図書館資料の充実及び情報化の推進等の物的条件の整備等に関し必要な施策を講ずることも述べられています。人的整備とともに、この法案が学校図書館の充実につながることを期待します。
2002年度より小中学校を対象に「学校図書館整備五か年計画」が実施されています。文部科学・総務両省が2002年以降5年間に毎年130億円、総額650億円の交付税措置を策定したものですが、多くの自治体でその交付税が学校図書館整備費として予算化されていないという問題が生じています。またこの五か年計画では高校は対象となっていません。
先ずは「学校図書館整備五か年計画」の交付税措置が、その名目どおり各自治体で学校図書館整備費として確実に予算化されることと、高校図書館並びに盲・ろう・養護学校図書館充実のための新たな予算措置がなされることが必須であると考えます。
また、すべての学校図書館の資料を充実させるために、交付税措置以外の施策の検討も必要であると考えます。
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