日野市は、全都にさきがけて、小・中学校に専任の図書嘱託員を全校配置し、学校図書館の活性化をはかっていました。しかし、1997年の学校図書館法「改正」に伴い、日野市教育委員会は、2003年3月31日限りで、この制度を打ち切ることを決めました。
教育委員会では制度の継続と一層の充実を求める「学校図書館事務嘱託員制度の継続と一層の充実・『学校図書館審議会』設置を求める請願」さえも、今後の具体的方針を何も示さないまま「時期尚早」との理由で「不採択」としました。
このことに抗議するため、1999年の東京大会で、以下のアピールを採択しました。
「日野市学校図書館事務嘱託員制度」の
より一層の充実・発展を求めるアピール
私たちは、会員の実践活動を持ち寄って検討・理論化し、日常の図書館活動に活かすことで、学校図書館の充実・発展を目指している研究団体です。
さて、日野市が全都にさきがけて、小・中学校に専任の図書嘱託員を全校配置して、学校図書館の活性化をはかったことは、かねてより注目しておりました。配置された職員によって、それまで鍵のかかっていた図書館がよみがえり、学校図書館で、子どもたちは本と親しみ、授業で活用されるようになりました。
ところが、日野市教育委員会は、2003年3月31日限りで、この制度を打ち切ることを決めました。そればかりでなく、教育委員会では制度の継続と一層の充実を求める「学校図書館事務嘱託員制度の継続と一層の充実・『学校図書館審議会』設置を求める請願」さえも、今後の具体的方針を何も示さないまま「時期尚早」との理由で「不採択」とされてしまったことに、私たちは強く抗議します。
近年、文部省は学校図書館に注目し、その充実に向けて施策を講ずるようになりました。「自ら学ぶ力を育む豊かな教育」を展開していくためには、学校図書館の役割はますます重要になります。図書館本来の機能が発揮できるよう、より一層充実した図書館施策が要求される今、専任の司書の配置に進むのではなく、制度を廃止することはこれらの理念に逆行することです。
1997年の「学校図書館法の一部改正」で、12学級以上の学校には、2003年までに司書教諭が発令されることにはなりましたが、専任の人の配置ではなく、担任や教科を持ちながらの兼務であり、11学級以下の学校は除外されています。
兼任の司書教諭が発令されても、学校図書館が具体的に積極的にその本来の機能を果たしていくためには、専任・専門の学校司書の存在なくしては成り立ちません。それは、日野市におけるこれまで10年間の学校図書館事務嘱託員の実践が証明していることです。また、改正時の附帯決議で、現職者がその職を失うことのないように配慮することが求められています。全国的に見ても、学校図書館の重要性が認知され、60を越える「学校図書館を考える会」ができ、その活動により司書の配置が進んでいます。
子どもたちの「知りたい」「学びたい」という成長の芽をしっかり受け止めて育み、豊かな心や生きる力を育てるためにも、すぐれた教育活動を創り出す教職員の実践を徹底した資料提供で支えるためにも、学校図書館の飛躍的発展と充実が望まれます。
次世代を担う子どもたちに豊かな教育を保障する場としての学校図書館が、今後もその本来の機能が十分に発揮できるように、「日野市学校図書館事務嘱託員制度」の継続と、より一層の充実・発展を求めます。
1999年8月7日
学校図書館問題研究会第15回大会
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