文部科学省
「学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議」
第3回 関係団体ヒアリングにおける本会からの報告
本会は、文部科学省(以下、文科省)の
学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議の第3回において、関係団体ヒアリングで学校図書館や学校司書のあり方について報告をしました。文科省サイトの議事録から読むことができます。また、第3回終了後、文科省経由で委員から質問が寄せられ、それに
対して以下のように回答をまとめ、文科省に送付しました(掲載に関しては文科省の許諾を得ています)。
第3回学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議に関して、会議内で質問できなかった内容についての委員からの質問に対する回答
学校図書館問題研究会
【質問】 学校図書館法では、学校図書館の専門的職務を掌らせるため、司書教諭を置かなければならない。と明記されています。学校図書館に、専任の司書教諭が配置されているという前提での、今回のお話だったのでしょうか?それとも、専任の司書教諭の配置が難しいという現実を踏まえて、司書教諭に代わり、専門性を有する学校司書の配置をというお話だったのでしょうか?
【回答】 この質問は、次の質問の前段ともかかわってきますので、ここで合わせて回答させてい ただきます。
学校図書館は、子どもたちの学び・育ちや学校の教育活動に役立つ蔵書を構成し、子どもたちや教職員の要求を汲み取って、読書相談やレファレンス、授業支援などの場面で、適切に資料や情報を提供することが求められます。そして、このように子どもたちの知的要求や教員の授業づくりの要求に的確に応えることが、学びをより豊かなものにしていきます。そのため、学校図書館を担当する職員は、こうした学校図書館の機能を十分に発揮できる知識と、資料や情報の専門家としての視点を持っていることが必要です。
一方、司書教諭の場合、資格を取得するための科目内容は、どちらかというと学校図書館を活用する観点からのものが多く、学校図書館を運営し、図書館サービスを提供していくという面にはあまり重点が置かれていません。また、学校図書館法に規定されている司書教諭は、教諭として採用された者が、配属された学校において年度ごとに発令される職であり、司書教諭となった人は、多くの場合、教員としての視点から子どもたちに接することになります。
そのため、司書教諭は教育課程の展開において学校図書館の活用を図るという面には向いていますが、学校図書館そのものを運営し、資料や情報を整備し提供するという面では、知識の点でも視点の点でも十分ではありません。
以上の点から、学校図書館法第五条の司書教諭が配置されているか否か、専任であるか否かとは別の問題として、学校図書館を十分に機能させるためには、専門性を有する学校司書を専任で配置することが必要だと考えています。
【質問】 図書館専任、フルタイムで 1 校に 1 名以上の司書教諭の配置があれば、学校司書を専任にする必要がありますか?
また、学校司書資格について、①~⑤の要件を記載されていますが、その要件を満たす人材が、実際に存在しますか? どのような方法で、人材確保されるのか、教えてください。
【回答】 前段については上の質問とともに回答いたしました。
後段についてですが、本会では学校司書の資格に求められる要件について、会員の実践をもとにしながら検討を進め、それを一般化・理論化することでまとめてきました。そのため、ここに示した要件はいずれも実践に根ざしたものです。現時点で、これらすべてを実践している学校司書は実際に存在しています。また、学校によって教育方針や状況の違いがあり、①~⑤のすべてについて実践できていない場合でも、それらをなし得る基本的な能力を備えている学校司書は、現状でもいます。
こうした学校司書の存在は、多くの場合、採用に際して司書資格が求められていること、図書館専任として正規で雇用されていること、そして、自治体や学校で学校図書館や学校教育に関する研修を行っていることから実現しています。
これらのことから、私たちは①~⑤の要件を満たす基本的な能力は、司書資格の習得をベースに、さらに学校教育に関する知識を合わせ持つことで習得できると考えています。司書資格保有者は現時点でも多数存在しますし、毎年多数輩出されていますので、そこを基盤としながら養成を進めれば、学校司書資格保有者の人数確保は可能だと考えます。また、配置条件や雇用条件を整備することも欠かせません。
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