私からは、学校司書のあり方について発言をさせていただきます。
学校図書館が学校の中でしっかりと役割を果たすためには、その機能を十分に発揮できなければなりません。
たとえば、教育活動や子どもたちの興味に応える、魅力的で多様性のある蔵書を構築する。子どもたち一人ひとりの「知りたい」気持ちや「読みたい」気持ちを大切にして、適切な資料を用意して提供する。社会で話題になっていることや関心を持ってほしいことについて、子どもたちの興味を喚起する。
授業の場面では、先生たちが「こういう授業をしたい」というときに、「こういう資料があります」とか「この資料はこのように活用できます」と提案して、授業づくりを支える。学校図書館を活用して授業をする先生と、学校図書館を機能させる学校司書が協働することで、子どもたちの学びは豊かになっていきます。
そのためには、学校司書は、図書館情報学に精通していることが大前提で、そのうえに教育学についての知識も持ち、いつも図書館にいて、学校の教職員の一員として図書館の仕事に継続的に携わることが必要です。
しかしながら、現状はと言えば、学図法が改正された後も、非常勤で不安定な立場の学校司書の配置が進められています。文科省の調査によると、小中学校に常勤で配置されている学校司書は全体のたった1割です。また、学校図書館の運営のために委託を行っている自治体は64になっています。子どもたちや先生たちともっとコミュニケーションをとりたい、学校図書館の仕事をもっときちんとしたい、それなのにいろいろな制約があってできない、と悩んでいる学校司書は少なくありません。
専門性の面でも、採用にあたって何らの資格も問わない自治体が3割以上あります。
文科省の「学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議」では、先ごろ「論点整理(案)」が示されました。そこでは、学校司書の要件について、司書教諭資格はそれを必要十分に満たすとしています。しかし、図書館情報学に関わる科目に関して言えば、司書資格が24単位であるのに対して、司書教諭資格は10単位です。これでは、図書館を運営するのに決して十分ではありません。また、民間委託についてもはっきりと否定せず、その余地を残した表現になっています。
このままの状況では、学校図書館がその役割を十分に果たすことはできません。学校図書館が本来の教育力を発揮できるように、学校司書は、図書館情報学の知識を十分に持った、すなわち司書資格の習得をベースにし、さらに学校教育に関する知識を合わせ持っている人を、専任・正規で配置することが必要です。ぜひ、その実現に向けたご尽力をお願いします。