学校図書館問題研究会(がくとけん)は、学校図書館に関わる職員や学校図書館に関心のあるみなさんのための研究団体です。

 
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2023年8月 関西大会アピール

学校図書館問題研究会では、学校図書館法公布70年を迎えた2023年、
第38回全国大会(関西大会)で討議を重ね、以下の大会アピールを採択しました。

「専門・専任・正規」の学校司書の配置と学校図書館の充実を求めるアピール
appeal_2023meeting.pdf (PDFファイル 101KB)
 

2023年8月 関西大会アピール 本文

学校図書館問題研究会 第 38 回全国大会(関⻄大会)

「専門・専任・正規」の学校司書の配置と学校図書館の充実を求めるアピール

 2023 年は、すべての学校に学校図書館の設置を定めた学校図書館法公布から 70 周年 です。この間、学校図書館の“人”に関わって、大きな「改正」が 2 度ありました。1997 年に司書教諭の配置に関わる「改正」があり、2014 年には学校司書が法律に位置づけられました。しかしこれらの「改正」を経ても、学校図書館と職員を取り巻く環境は変わらず、 根本的な課題の解決にはいたっていません。
 私たちは、資料提供をとおして、子どもたちが学ぶよろこびや読む楽しさを体験できる よう援助し、すぐれた教育活動を創り出す教職員の実践を支えてきました。学校図書館が 果たす役割は、子どもたちの読書活動を支えること、教育活動に寄与すること、情報活用 能力の育成を支援することなどがあり、どれも重要です。そして子どもたちの主体的、探 究的な学びには、学校図書館が深く関わり支援をする必要があります。またコロナ禍をき っかけに導入が進んだ ICT 教育にも、調査スキルの指導やデジタル・シティズンシップ教 育を通して関わることが求められます。
 学校図書館がこうした役割を果たすためには、専門職員である学校司書の配置が欠かせ ません。しかしその体制は整っていないのが現状です。学校司書は法律に位置づけられた ものの配置は努力義務であり、雇用形態は非正規雇用が多くを占め、採用においては専門 性が問われない場合もあり、専門職としての研修や養成についても課題が残されています。
 学校図書館の資料や設備についても同様です。「学校図書館図書整備等 5 か年計画」の 地方交付税交付金を図書費として予算化していない自治体が少なくありません。各自治体で確実に予算化することも求められますが、それだけでは資料不足の根本的な解決にはなりません。図書館の ICT 環境整備の遅れも聞こえます。
 このように、人も施設・設備も不足した状況では、学校図書館の力を十分に発揮できま せん。特に学校図書館の専門職としての学校司書は、「専門・専任・正規」の職員でなければなりません。それは司書資格を持つ人が、各校に1名以上、専任で正規雇用されることです。これらの条件を整えるためには、国が学校司書を「専門的職務を掌らせる」職として、「置かなければならない」と法律に位置づけ、資格要件を定め、教職員定数法に規定す るなどの措置を講ずる必要があります。
 公布より 70 年、学校図書館の実践は積み重なり、学校教育の中で果たすべき役割はま すます重要になっています。さらなる学校図書館の充実に向け、「専門・専任・正規」の学校司書の配置、学校図書館の環境整備を強く訴えます。

                    2023 年 8 月 7 日 学校図書館問題研究会