「週刊東洋経済」は、東洋経済新報社が発行する経済専門雑誌です。 2009年7月11日付け同誌の、「シリーズ ニッポンのカイシャ」で、三重県の株式会社リブネットが取り上げられました。その記事の中に、明らかな事実誤認の記述がありました。学校司書の専門性にかかわる記述で、学図研としてこのまま見過ごすべきではないという意見が出ました。そこで事実誤認の指摘、訂正の要請、今後の対応について下記のとおり申し入れ書を作成し、8月31日編集部あてに送付しました。
2009年8月30日
「週刊東洋経済」編集部 様
中島 順一郎 様
学校図書館問題研究会
代表 飯田 寿美
「週刊東洋経済」記事への申し入れ(要望書)
私たち学校図書館問題研究会は、学校司書や司書教諭など学校図書館関係者、公共図書館関係者、市民、研究者など、学校図書館に関心を持つ幅広い会員で構成されている個人加盟の研究団体です。一人ひとりが自分の実践を持ち寄り、検証しあい、理論化していくことで、学校図書館の発展をめざしています。
貴社「週刊東洋経済」2009年7月11日号「シリーズ ニッポンのカイシャ 第7回 株式会社リブネット〈図書館の運営委託〉」の中で、事実と異なる箇所がありました。以下の通りです。
1 111p 3段目 7行~14行
そもそも、「図書館の先生」には大きく二つある。一つは、学校の教員で司書資格を持つ「司書教諭」、 もう一つは司書資格が必要ない事務職の「学校司書」だ。
2 111p 3段目 24行~26行
一方、学校司書の多くは専門知識に乏しい。
1 について
発令されている司書教諭が持っている資格は、「司書」ではなく「司書教諭」です。また、学校司書の採用にあたっては、「司書」資格を持っていることを条件としている自治体も多くあります。三重県もそのひとつです。したがって学校司書を〈司書資格が必要ない事務職〉と断定するのは誤りです。
2 について
上記で述べたとおり、「司書」資格を持っている学校司書は、言うまでもなく専門知識を持った学校図書館の専門職員です。〈学校司書の多くは専門知識に乏しい〉というのは、大きな誤りです。
株式会社リブネットがある三重県の県立学校では、「司書」資格を有する学校司書が専任で勤務しています。そして三重県立尾鷲高校長島校は、文部科学省が優れた読書活動を顕彰する「読書活動優秀実践校」を2009年に受賞しました。図書館活動の核となる学校司書の実践が活動を支えた結果に他なりません。
以上の理由により、1・2の事実と異なる箇所も含め、貴社の取材、執筆姿勢について下記のとおり要求いたします
- 事実と異なる箇所については、確認の上同誌に訂正文を掲載する
- 今後執筆する記事の内容に関しては、十分取材し正確な内容を掲載する
社会的影響の大きい貴誌の記事で、誤った情報が広まり、一般的な知識として定着するのではないかと、私たちは大変危惧しております。学校図書館関係者が多く集う本会として看過できない問題です。
メディアとしての厳正な姿勢を強くお願いするとともに、今後は学校図書館と学校図書館職員への正確な理解をされた上、学校図書館活動を応援する記事を取り上げていただきますようお願いいたします。
以上
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